世界No.1への布石/東レ PPSB成長戦略(上)/20年に年産20万トン強

TAKの李泳官代表理事会長

 東レは中期経営課題「プロジェクトAP―G2019」で、不織布の拡大を主要課題の一つに位置付ける。そのけん引車が紙おむつ用を主力とするポリプロピレンスパンボンド不織布(PPSB)だ。その中核を担う韓国・トーレ・アドバンスト・マテリアルズ・コリア(TAK)の李泳官代表理事会長は、「PPSBで世界ナンバーワンを目指す」と語る。6~8日、東京ビッグサイトで開催された、アジア不織布産業総合展示会・会議「ANEX2018」のため、来日した李代表理事会長にその戦略を聞いた。

 2018年3月期、東レのPPSB事業連結売上高は前期比15%増の390億円に達した。18年度はさらに440億円を見込む。この規模はシキボウ、富士紡ホールディングスの連結売上高を上回る。このことからも東レのPPSB事業の巨大さが分かる。もちろん、生産規模も桁違い。TAKは18年4月に年産1万8千トンの新設備が稼働し、6万1千トン。中国の東麗高新聚化〈南通〉(TPN)の7万3千トン、インドネシアのトーレ・ポリテック・ジャカルタ(TPJ)3万7千トンを合わせた現有能力は17万1千トン。

 あまり知られていないが、東レグループの合繊生産の中で、ポリエステルSBも含めたSBの生産規模は日本、中国、インドネシア、タイで生産するナイロン繊維(14万8千トン)を既に上回り、ポリエステル繊維に次いで第2位にある。

 しかも、1ライン50億円といわれるPPSBへの拡大投資は一向に緩む気配がない。19年には中国で新会社、東麗高新聚化〈仏山〉(TPF)で2万トン設備を立ち上げ、20年にはインドのトーレ・インダストリーズ〈インディア〉(TID)で1万8千トンの設備が稼働し、2年後に20万9千トンになる。

 こうした成長を支えるのが、主力用途である紙おむつのアジア需要の拡大。TAKの李代表理事会長は紙おむつのアジア市場の成長について次のように語る。

 「現在、年間450億個の紙おむつがアジアで使用されているが、20年に750億個、25年は1千億個を超える。これに伴い、材料となるPPSB需要も年率10%成長する。現在は年間70万トン規模だが、20年に94万トン、25年には136万トンに達する」とみる。

 その成長の波に乗りながら「アジアでナンバーワンすなわち、世界でナンバーワン」を目指す訳だが「従来路線では疑問符もある」と李代表理事会長は言う。その表れが、昨年11月、日本の滋賀事業場(大津市)に導入した独自のSB開発設備になる。