不織布の新潮流/次代に備えた原反・設備/成長産業らしく新提案

ANEX2018で新製品賞を受賞した金星製紙の「エコパル デコレイ」

 「不織布の新潮流は何か」。繊維業界で数少ない成長産業の一つである不織布。6~8日、東京ビッグサイトで開催されたアジア不織布産業総合展示会・会議「ANEX2018」では連携する欧米の不織布展も含めて出展者数は過去最高の747社、3日間の来場者数も目標(3万人)を上回る3万695人と、成長産業らしい勢いを感じさせた。同時に、出展企業は新提案を積極的に行い、次代に備えた動きも見せた。そこから不織布の新潮流を解く。

 ANEX2018では来場者アンケートによりアワードが発表された。その一つで、特に優れた新製品に与えられる「新製品賞」を受賞したのは、不織布専業メーカーの金星製紙(高知市)だった。ANEX2018には合繊メーカーはじめ大企業が数多く出展するだけに、金星製紙の新製品賞の受賞は専業メーカーの開発力の高さを裏付けたとも言える。7日に執り行われたレセプションでの表彰式ではひときわ歓声が大きかった。

 同社が新製品として発表したのはエアレイド不織布の2タイプ。中でもエンボス加工を施すことなく、凹凸状に表面を立体賦形化させた「エコパル デコレイ」が面白い。詳細な製法は明らかにしてもらえなかったが、超極細の「エコパル リモレイ」を含めて来場者の関心は高く、サンプルもなくなるなど、今後の本格化に手応えを示す。

 フタムラ化学(名古屋市中村区)が参考出品したセルロース短繊維も次への可能性を秘めた新商品。このセルロース短繊維はビスコース法とは異なる製法によるもの。不織布の原料とした場合、吸水性や透明性に優れる。

 ANEX2018には機械メーカーとその販売代理店も数多く出展する。そこにも新しさを感じさせる提案が多かった。

 伊藤忠システック(大阪市中央区)が提案したディロ(ドイツ)製複合不織布設備「ハイパーテックス」は従来別工程のスクリム製造とニードルパンチ不織布製造を1台で連続加工するもの。スクリムを挟み込む形でウエブを形成しニードルパンチするため、強度に優れる。土木資材やフィルター向けに提案した。

 兼松KGK(東京都練馬区)はアンドリッツグループ(オーストリア)やダンウェブ・マシナリー(デンマーク)の製造設備に加え、ABBグループ(スイス)の双腕ロボット「ユーミィ(YuMi)」を設置した。柔軟性や敏しょう性に対応し、最高水準の動作速度や精度を誇るが、来場者からは製品に混入した異物をユーミィで取り除けないかとの問い合わせもあり、「現状は難しいかもしれないが、課題として取り組みたい」と言う。

 不織布製造用ベルトの製造の日本フイルコン(東京都稲城市)はスパンレース用柄付きロールカバーを新提案。機能性だけでなく、意匠性も付加することができる金属製のロールカバーは業界初で特許出願中。既存のラインに付与でき、多額の設備投資も不要とする。来場者の反響は大きく、「意匠性への要求が高いことを改めて実感した」そうだ。

 これらは不織布の新潮流の一部に過ぎない。従来路線に甘んじず、次への布石を打つ。そこに不織布の強さがある。