東レ 産業資材・不織布事業部門/積極投資の成果上げる/鍵握るのは商品開発力

 東レの産業資材・不織布事業部門は2018年度(19年3月期)の重点方針としてエアバッグ基布や衛材向けポリプロピレン(PP)スパンボンド不織布などでこれまでの積極投資の成果を具体化させることを掲げる。産業資材・不織布事業部門の平井正夫部門長は「成長分野への投資を続けてきたが、その成果を刈り取る段階に入った」と話す。

 産業資材事業の中でも、特にエアバッグ基布は日本、タイ、中国、インド、チェコ、メキシコの世界6極での生産・販売体制を敷く。平井部門長は「世界で戦う体制が整った。エアバッグ基布で“世界一”を目指す」と強調する。

 エアバッグ基布以外の車両分野もゴム資材、シートベルトなどで需要家の東南アジア生産シフトが加速していることから、東レとしても東南アジア地域での生産拠点整備に取り組む。タイヤコードは航空機タイヤ用など高性能・高付加価値用途への特化も進める。

 一方、国内を中心に漁網やカーペット用BCFナイロンなど伝統的用途も一定の事業規模がある。これらの用途に関して「業界でも先頭を走っているという自負がある。その地位をさらに確固たるものにするためのポイントは開発力」と指摘。従来以上に素材・商品開発を強化する方針を示す。

 不織布事業は、紙おむつ向けPPスパンボンド不織布など衛材分野に重点的に取り組む。アジア新興国を中心に地産地消型ビジネスの傾向が一段と強まっていることから、日系衛生用品メーカーとの連携を強めながら機動力のある生産・供給体制の確立を進める。ここでもポイントになるのは商品開発力として、滋賀事業場の開発設備の成果も具体化させる。

 衛材以外ではポリエステルスパンボンド不織布やポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維などによるフィルター用途も重要分野と位置付ける。環境規制強化などで世界的に需要拡大が期待できることから、商品開発の高度化と積極的な拡販で「トップランナーとして走り続ける」と話す。