帝人フロンティア/独・ジーグラー社を完全子会社化/欧米販路開拓に本腰

 帝人フロンティアはドイツの自動車向け吸音材・シート用ワディング材メーカーであるJ.H.Ziegler GmbH(ジーグラー社)の全株式を取得し、完全子会社化する。買収金額は1億2500万ユーロ(約162億円)。これを機に、中核事業と位置付ける自動車関連分野で欧米販路開拓を本格化する。

 日光信二社長によると、ジーグラー社はドイツ・ビュルテンベルク州オーベルアハーンに本拠を置き、主に自動車内装吸音材とカーシート用ワディング材を生産するメーカー。2017年12月期の売上高は約90億円で従業員は400人。25年には相乗効果の発揮や増設効果により売上高200億円を見込む。

 日光社長は今回の買収のテーマを「音」にあると説明。EV車など極端にエンジン音が小さい自動車の開発が加速するのに伴って、風切音やタイヤ溝のパターンノイズが注目されるようになっているが、その低減にジーグラー社の技術を生かす。ジーグラー社が持つ多層不織布技術に帝人フロンティアの極細ポリエステル繊維を組み合わせることで新たな吸音材を開発していく。

 帝人フロンティアは、「車内の静粛性を実現する制音事業を拡大する」ことを方針に掲げており、今回の買収もその一環。

 ジーグラー社はワディング材で欧州域内トップシェアを誇る。ワディング材とはカーシートの表皮材とクッション構造体との緩衝材のこと。制音によって聴覚を、ワディング材ほかで触覚と視覚を刺激して高級化を図ることが「今後の自動車産業の方向性になる」とし、相乗効果の発揮によって三つの感覚に対応した部材開発を加速する。

 ジーグラー社はドイツを中心に欧州自動車メーカーとの間で太いパイプを築いており、このダイレクトチャネルも買収に至る理由になった。