旭化成 繊維事業本部/自動車分野全体で相乗効果/「ラムース」販売拡大も加速

 旭化成の繊維事業本部はこのほど、米国の自動車内装材大手であるセージ・オートモーティブ・インテリアズの買収を決めたことを生かし、人工皮革「ラムース」の販売拡大を加速させるとともに、内装材を中心に自動車分野全体での相乗効果発揮を目指す。

 工藤幸四郎上席執行役員繊維事業本部長は、今回のセージ社買収に関して、「まずは繊維事業の戦略の中にきちんと基礎付けることでシナジーを発揮させることが重要になる」と話す。

 セージ社は、旭化成のラムースを染色加工して「ディナミカ」ブランドでカーシート地を販売する伊MIKOを傘下に持つ。セージ社は加えて米サウスカロライナ工場でもラムースの染色加工とカーシート地生産を行うことを検討している。一方、旭化成は現在、宮崎県延岡市の工場でラムース製造設備を増設中で、2019年上半期(4~9月)の稼働を予定する。セージ社がグループに加わることで「ラムース増設による販売拡大のスピードを速めることができる」との見通しを示す。

 ラムースのさらなる増設も検討課題となる。カーシートが有力用途となることから、海外生産も視野に入れる。その場合、セージ社が各工場で既に保有する用役設備を活用することによって効率的な設備投資が可能になることも期待できる。

 人工皮革以外でも相乗効果発揮を目指す。工藤上席執行役員は「自動車内装にはさまざまな素材が使用されている。当社は人工皮革以外にもスパンボンド不織布などの商材を持つ。これをセージ社の取引先に提案することも可能になるだろう」と期待する。

 ナイロン66繊維「レオナ」に関しても、現在のエアバッグ向け原糸販売だけでなく将来的には織布工程への関与が検討課題となるが、セージ社が保有するメキシコなどでの用役インフラの活用がここでもあり得るとの考えを示唆した。そのほかに、セージ社として自動車関連でのさまざまな事業拡大案件を検討しており、「こうした動きに旭化成として素材や技術の面で連携することでさまざまなシナジーが発揮できる」と指摘する。

 近年、自動車分野では内装の重要性が高まっているが、内装は性能・機能だけでなくデザインの重要度も高い。このためデザイン企画の中核を担うティア1(1次請け)やティア2(2次請け)のプレゼンスが一段と高まる可能性がある。自動車産業のサプライチェーンでティア2に位置するセージ社を旭化成がグループに加えることで、自動車分野でのプレゼンスを一段と高めることもできる。

 こうした取り組みを通じて、旭化成とセージ社とで自動車分野全体での相乗効果の発揮を目指す。