不織布/10カ月連続の減産/紙おむつ向け低迷響く

不織布の減産が続いている。経済産業省の生活用品統計月報によると、2019年1~3月の生産量は前年同期比4・1%減の8万2401トンとなり、月次では昨年6月から10カ月連続の減産。主要因は生産量の約3割を占めるスパンボンド不織布(SB)・メルトブロー不織布(MB)の減速によるもの。SB・MBも10カ月連続で前年実績を割り込む。不織布に何が起こっているのか。

SB・MBの減産は紙おむつを主力とするポリプロピレン製の落ち込みによるところが大きい。経産省の紙・印刷・プラスチック製品・ゴム製品統計によると、19年の紙おむつ生産量は枚数が234億枚強(前年比4・6%減)、重量は87万トン強(3・0%減)だった。

当然、尿漏れギャザー、バックシート(紙おむつの外側)などに使われるポリプロピレンSBの需要は落ち込む。19年には国内生産量が10万トンを割り込んだ。

SB・MBだけではない。同じく、紙おむつのトップシート(肌が直接当たる部分)に使われるサーマルボンド不織布(TB)も11カ月連続で減産が続く。TBの中でも空気で不織布化するエア―スルータイプの落ち込みとみられる。

こうした紙おむつ減産の背景には、中国が輸入品のインターネット通販を規制する法律を1月に施行したことがある。紙おむつの国内生産を支えていた一つには中国で人気の日本製紙おむつを爆買いし、ネットなどを通じて転売する業者の存在があった。彼らが規制により、購入を抑制。不織布メーカーによると、「法律の施行前に、転売業者が在庫処分に動いたことで供給量が増加。高価格で売れていた日本製紙おむつの単価下落も招いた」と言う。

これらの影響を受け、SB・MB、TB、さらにTBの原料となる熱融着繊維など関連するモノは全て減産を強いられる形になった。これがいつまで続くのか。ある不織布メーカーの担当者は、詳細は話さないものの「既に日本の紙おむつメーカーの巻き返しが始まっており、それに向けて国内生産の回復が見込める」と強気の見通しを示す。

SB・MB、TBなどの不織布は紙おむつ生産減の影響を受けており、分母が大きいため、総生産はマイナス基調にある。繊維の中で数少ない成長産業の一つである不織布だが、減産が続く中でその成長性を疑問視する向きもあるだろう。

しかし、不織布は製法や用途によって全く異なる。フェースマスク用などで伸ばすスパンレース不織布は6カ月連続の増産。逆浸透膜の支持体などに使う湿式不織布は3カ月連続の増産が続く。用途別でも紙おむつなどを含む医療・衛生用は減産も産業用は伸長する。

幅広い用途にさまざまな製法で対応できるのが不織布の強み。一時的な減産はあったとしても、成長できる余地はまだまだある。

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